【環境③】役割が人を育てる

2001年1月。

私は会社を辞めようと思いました。

営業部で働いていましたが、思うように結果が出ず、営業から逃げたい気持ちが強くなっていました。

直属の上司に退職の意思を伝えると、その日のうちに山本康二さんへ話が伝わり、夜遅くまで二人で話す機会をいただきました。

その時、山本さんは私にこう言いました。

「1か月後に管理部へ行け。」

私は「分かりました」と答え、その日は終わりました。夜中の2時ぐらいです。

ところが翌日、不思議なことが起こります。

私に部下が一人付いたのです。

部下ができると、自分だけの問題ではなくなりました。

営業のやり方を教えなければいけない。

部下が取ってきたアポイントには同行し、何としても契約を取りたい。

部下の前で簡単に諦めるわけにはいかない。

気が付けば、自分のためではなく、部下のために必死で営業をしていました。

すると、不思議なことに営業成績が伸び始めたのです。

営業が面白いと思えるようになりました。

約1か月後、私は山本さんに確認しました。

「管理部にはいつ異動ですか?」

すると、少しはぐらかされました。

結局、私は営業部に残ることになります。

そして2001年4月にはサブマネージャーに昇格し、翌2002年4月にはマネージャーになっていました。

今でも時々考えます。

山本さんは、最初からこの展開を想像していたのでしょうか。

それとも偶然だったのでしょうか。

答えは分かりません。

でも、一つだけ確かなことがあります。

私を変えたのは、「営業」という仕事ではありませんでした。

「部下を持つ」という役割でした。

人は環境が変わると成長すると言われます。

私は少し違う考えを持っています。

人は、新しい役割を与えられたときに成長する。

役割が変わると、責任が生まれます。

責任が生まれると、行動が変わります。

行動が変わると、結果が変わります。

そして、その結果が自信になります。

あの時、もし本当に管理部へ異動していたら、今の私はいなかったかもしれません。

あの日与えられた一つの役割が、私の人生を大きく変えました。

学び・気づき

「人を育てる環境」とは、立派なオフィスや制度だけではありません。

その人が一歩成長できる役割を与えることも、大切な環境づくりです。

また、自分が新しい役割を任されたときは、「大変だ」と考えるだけでなく、「期待されているのかもしれない」という視点を持つことで、自分の可能性が広がることがあります。

今日の一歩

もしあなたが管理職なら、「この人なら少し背伸びをすればできそうだ」という役割を、一人の部下に任せてみてください。

もしあなたが部下の立場なら、新しい役割を任されたときに、「なぜ自分なんだろう」と考えてみてください。

その役割が、未来の自分を育てるきっかけになるかもしれません。