僕が「教えること」を好きになった原点

大学3年生の頃、僕は家庭教師をしていました。

担当した生徒さんは、高校受験を控えていました。

国語、数学、英語が1。
社会、理科が2。

いわゆる「勉強が得意な子」ではありませんでした。

でも、僕は特別なことをしたわけではありません。

自分が勉強するときに使っていた、

「こうやって覚えると覚えやすい」
「こういう問題は、こうやって解けばいい」

という、自分なりの勉強法を、そのまま教えただけです。

すると、その生徒さんが高校受験に合格しました。

そのとき、僕は思ったんです。

「教えるって、面白いな。」

自分が持っている知識や経験を相手に渡す。

そして、それによって相手ができなかったことが、できるようになる。

これは、なかなか面白い仕事だな、と。

その後、社会人になってからも、何度となく「人に教える」という経験をしてきました。

自分が学んだことを、人に教える。

すると、自分自身の理解も深くなる。

人に教えるためには、自分が曖昧なままではいけません。

だから、教えることは、実は自分自身を成長させることでもある。

振り返ってみると、僕の仕事人生の中には、ずっとこの「教える」というものがありました。

そして今、改めて考えています。

「これを、もう一度仕事にしてみようか。」

現在、僕は研修事業を新たに検討しています。

ただ、いわゆる「研修会社」のように、決められたカリキュラムを大人数に教えることをやりたいわけではありません。

僕がやりたいのは、もっと家庭教師に近いものです。

経営者や管理者が抱えている問題を聞く。

その人が今、何を知らなければならないのかを考える。

必要な知識や考え方を教える。

そして、実際の仕事で使えるところまで一緒に考える。

つまり、

「その人に必要なことを、その人に合わせて教える。」

そんな研修です。

経営者は、会社の中では「教える側」であることが多い。

社員に指示を出し、判断をし、責任を負う。

でも、経営者自身には誰が教えてくれるのでしょうか。

会社が大きくなればなるほど、経営者が学ばなければならないことは増えていきます。

財務、人事、採用、組織、営業、マーケティング、マネジメント……。

もちろん、本を読んでもいい。

セミナーに参加してもいい。

経営塾に通う方法もあります。

でも、本当に必要なのは、

「自分の場合は、どうすればいいの?」

という問いに答えてくれる人なのかもしれません。

僕が大学3年生のときに家庭教師としてやっていたことは、今考えると、とてもシンプルでした。

自分が使って良かったものを、相手に合わせて教える。

そして、相手が結果を出す。

あれから30年弱経った今。

僕はもう一度、「教える」という仕事に向き合ってみようと思っています。

今度の生徒は、受験生ではありません。

経営者や管理者です。

そして、僕自身もまだ勉強中です。

だからこそ、教える側と教わる側を一方的に分けるのではなく、

「一緒に考えて、一緒に答えを見つける。」

そんな研修事業をつくれないか。

今、そんなことを考えています。